はじめに:退去時の「思わぬ請求」にご注意

引っ越しシーズン、次の新生活に胸が弾む一方で、
退去時の原状回復費用をめぐるトラブルが後を絶ちません。
「タバコのヤニが壁紙に染みてるから全部張替えで〇〇万円です」
「フローリングの小さな傷でも全額請求されるなんて…」
こうした経験談、耳にしたことはありませんか?
今回は、原状回復とは何か、退去時に損しないための対策をわかりやすく解説します。
原状回復とは?本来の意味を知ろう
まず誤解しがちなのが「借りた当時の状態に戻すこと=原状回復」という考え方。
これは不正確です。
🔍 正しくは…
通常の使用で生じた経年劣化や自然損耗は借主の負担ではなく、
借主の故意・過失・通常を超える使い方で発生した損傷のみ、負担対象です。
✅ たとえば…
| 状態 | 原状回復の対象? | 費用負担者 |
|---|---|---|
| 日焼けによる壁紙の色あせ | ❌ 対象外 | 貸主 |
| ペットによる壁の引っかき傷 | ✅ 対象 | 借主 |
| タバコのヤニ汚れ | ✅ 対象 | 借主 |
| 冷蔵庫の裏の黒ずみ | ❌ 対象外 | 貸主 |
よくある退去トラブル3選
① 壁紙やフローリングの全面張り替え請求
小さな傷や一部の汚れでも「全部張り替えるから全額負担して」と言われるケース。
▶ 対応策:範囲に応じた按分請求が原則。部分的な損傷で全体を請求するのは不当です。
② 敷金がほぼ返ってこない
敷金=退去時に戻るお金…のはずが、明細なしで全額差し引かれることも。
▶ 対応策:明細を請求する権利があります。不明瞭な請求には応じないこと。
③ 原状回復費の見積もりが不透明
「業者に見積もらせるのでまた連絡します」と言われ、後日高額請求。
▶ 対応策:相見積もりの提示を求める、または国交省ガイドラインに準拠しているか確認。
トラブルを防ぐための3つのポイント
📸 1. 入居時・退去時の写真をしっかり残す
→ 傷や汚れの「既存の有無」を証明する大事な証拠になります。
📝 2. 契約時の重要事項説明をちゃんと読む
→ 「原状回復特約」があるかをチェック。内容が曖昧なら質問を。
🧾 3. 見積書は必ずチェックし、納得できない請求は交渉
→ 「これは経年劣化では?」と冷静に主張しましょう。
場合によっては消費者センターや弁護士相談も視野に。
まとめ
原状回復をめぐる退去トラブルの多くは、「借主が無知であること」を前提にして請求されることがほとんど。
ですが、ポイントを押さえておけば、無駄な支払いは防げます。
- 原状回復=借りたときの状態に戻すこと、ではない
- 通常使用による劣化の修繕費は、原則大家負担
- 写真記録・契約内容確認・明細の確認を忘れずに!
正しい知識で、大切なお金を守りましょう。







